恋は死なない。



四人の子どもの世話に追われていても、真琴は生活に疲れている感じは片鱗もなく、佳音の工房に飾られている写真の時と同じに、今も若々しく可愛らしかった。


「お茶でもしたいところだけど、もう夕ご飯だから、佳音ちゃんも食べていって。古庄先生ももうすぐ帰って来ると思うわ」


「自分も『古庄先生』なのに、お父さんのこと『古庄先生』なんて、おっかしーの!」


リビングで弟の彦真と追いかけっこをしていた真和が、佳音と真琴の会話を聞いて口を挟んでくる。


「私が生徒だったときは、お父さんが『古庄先生』でお母さんは『賀川先生』だったのよ。だから、おかしくないのよ?」


佳音が説明してあげると、真和は目からウロコが落ちたみたいに納得した。


「そっか、お母さんは、賀川のお祖父ちゃんやお祖母ちゃんと同じで、昔は『賀川先生』って言ってたんだ!」


と言っていたところに、ヤンチャな彦真が突っ込んでくる。


「兄ちゃん、タックルだー!!」


思いっきりぶつかられて、真和はそのままひっくり返った。それを見て、血相を変えたのは真琴だ。


「何をやってるの?!構えてない相手に、タックルしちゃダメって、いつもお父さんが言ってるでしょ?」


「えー?でも、いつも兄ちゃんだってやってるよ?」


「このやろ!やったな?」


< 164 / 273 >

この作品をシェア

pagetop