恋は死なない。
佳音が来ていることは、子どもたちから聞いたのだろう、リビングにいる佳音を見つけると、古庄はニッコリと極上の笑顔を見せてくれた。
「よく来てくれたね。元気にしてるかな……って、思ってたところだったんだ。会えて嬉しいよ」
こんな自分をいつも気にかけてくれていることに、佳音の心がキュウっと鳴くように絞られた。
「……お、お久しぶりです」
本当に久しぶりに対面する古庄には、自ずと佳音も緊張してしまう。それほど古庄の格好良さは、人知を超越していた。
古庄は両腕にぶら下がっていた子どもたちから解放されると、真琴の腕から末の娘を受け取った。泣いていた赤ちゃんから解放された真琴は、ようやくキッチンへと向かうことができる。
古庄は手慣れた感じで赤ちゃんをあやしながら、再び佳音へと優しい視線を向けた。
「これから飯を食って帰るのか?それじゃ、ゆっくりできないだろうから、今晩は泊まっていくといいよ。なあ?真琴?」
古庄は佳音にそう言いながら、真琴にも確認する。けれども、とっさに佳音は首を横に振った。
「いきなり押しかけてきておいて、そんな、とんでもないです」
「佳音ちゃんは家族みたいなものだから、遠慮することないのよ?明日は土曜日でお休みだし。それとも、佳音ちゃんの方に、何か仕事や用事があるの?」