恋は死なない。
「私のパジャマ、置いてあるから。下着は旅行用の使い捨てのものだけど、よかったら使ってね」
しかし、真琴は、普通ではない佳音の様子をあえて指摘することなく、そう言って佳音を促した。佳音は頷いてもう一度円香へと視線を落とすと、その頬をそっと撫でてから立ち上がった。
子どもたちを寝かしつけた後、リビングに戻ってきた古庄が、キッチンの後片付けをしていた真琴に声をかけた。
「さっき、君の胸を見てもドキドキしないって言ったけど……」
と、言いかけたところで、真琴がそれを遮るように、言葉を被せる。
「そりゃ、四人もの赤ちゃんにお乳を上げて……、今の円香の授乳が終わったら、きっと見るも無残なペチャンコになります」
佳音がお風呂に入っていることもあって、真琴は何も心を隠すことなく、皮肉を込めて自虐的なことを言った。振り向いてくれないところを見ると、古庄の想定通り、真琴は少しヘソを曲げているらしい。
「調子に乗ってあんなこと言ってしまったけど、そういう意味じゃないんだ」
「……だったら、どういう意味なんですか」
言い訳がましいことを言ってくる古庄に対して、真琴は手を動かしながら呆れたように切り返した。そんな真琴の背中に向かって、古庄は投げかける。