恋は死なない。
それを聞いて、顔から蒸気が上がらんばかりに、真琴はますます赤くなった。
「……もう!あなたには付き合いきれません!ヤル気にならなくていいので、これは飲まないでください!!」
真琴は半分怒ったように、古庄の目の前にあった栄養ドリンクを片付けた。そんな真琴を見ても、古庄はケロっとして、いつもの“天然”が全開だ。
「大丈夫。そんなもの飲まなくたって、いつでも俺はヤル気だし、もう一人作る準備はできてるから」
色気を帯びて、余裕のある笑みを見せる古庄に、佳音も思わずドキリとする。そんな佳音の表情を敏感に察知した真琴は、焦りで自分が制御できなくなる。
「佳音ちゃんがいるのに、そういう話題で私をからかうのはやめてください!それに、もう一人なんて、絶対に無理です!!」
本気で怒り始めた真琴に対して、古庄は夕食のときと同じように、肩をすくめて佳音に目配せした。
この夫婦の相変わらずのやり取りはとても面白くて、佳音もこの一瞬は自分の中の苦しさを忘れて、自然と笑顔になる。
古庄は、お茶を淹れている真琴を愛おしそうな眼差しで見やってから、
「もう一人だけじゃない。俺はまだ、二人でも三人でもほしいくらいだ」
その真琴には聞こえないように、佳音に囁きかけた。
佳音もさすがに驚いたように、丸くした目を合わせる。