恋は死なない。
佳音はもっぱら、食べる係。子どもたちが代わる代わる持って来てくれる料理を、何度も食べるフリをして付き合った。
子どもたちが良い子にして遊んでくれている間、真琴は円香に授乳をしたり、洗濯物を干したり、掃除をしたり、忙しそうに動き回っていた。
「佳音ちゃん、子どもたちの面倒を見てくれて、ありがとう。お茶を淹れたから、こっちへ来て」
子どもたちが遊びに夢中になっているのを見計らって、真琴が佳音に声をかけた。
大きな木の木陰、芝生の庭に面したウッドデッキにあるテーブルには、ティーカップが二つとクッキーの載ったお皿が置かれていた。
「いつもはいろんなことに追われて、こんなふうにお茶を飲むことなんてないんだけど、今は円香も寝てるし、ちょっと女同士で楽しみましょ」
と言いながら、真琴はもうすでに紅茶を一口飲み込んで、ホッと息を抜いている。
爽やかな風が吹きわたるウッドデッキに、佳音も出てきて、そこにある椅子に腰かけた。
すると、佳音がいなくなったことに気がついて、琴香が追いかけて来る。琴香の手には、陶器製の可愛らしいフォトスタンドが握られていた。
「この人、おねえちゃん?」
そこに入れられている写真は、古庄と真琴の結婚式の時のもの。佳音の工房に飾られている写真と同じもので、二人の間で高校生の佳音が恥ずかしそうに肩をすくめている。