恋は死なない。
和寿にそっと抱き寄せられながら、また佳音は涙を溢れさせた。
でも、この特別な日に、佳音もきちんと伝えておきたかった。もう会うこともないだろうと思い、いつも心に描いていた和寿に、自分が語りかけていた言葉を。
「私も……、あなたを愛しています。この世の何よりも……。私の命よりも……」
なにも臆することなく、愛しい人にその想いが伝えられることの幸せを、このとき佳音は初めて知った。
和寿はその佳音の心からの言葉を、じっと佳音の目を見つめながら聞いて、そっと唇を重ねてそれに応えた。
何度キスを重ねても、次々と溢れてくる想いは、とてもそれだけでは表現しきれなくて、和寿は自分が抑えられなくなり佳音を抱き上げた。
「これは『過ち』なんかじゃないよ。僕たちは夫婦なんだから」
佳音をベッドへと連れて行き、そこに体を横たえさせると、和寿はそう囁いた。
「……赤ちゃんがいるから、優しくね……」
キスを交わしながら、佳音はそう断って釘を刺したが、その囁きは和寿の肌を粟立たせ、逆にいっそう理性を危うくする。
「分かってるよ……」
和寿はほのかに笑うと、唇を佳音の首筋へと滑らせていく。それから、和寿はその言葉の通り、優しく優しく佳音を愛した。