恋は死なない。



「君の側にいて、こうやって抱きしめていられるだけで、こんなにも幸せなのに……。だけど、これからもっと幸せになろう。一緒に夢を叶えよう」


その言葉に佳音の心は満たされて、ニッコリと花の咲くように笑った。その笑顔は、和寿の心も穏やかに満たしていく。

和寿が手を差し出すと、佳音はそっと自分の手を重ねた。
優しい夕陽がつくる柔らかい空気が川辺の道を包み込み、薄の穂が光を受けて輝いている。その中を、二人は二人の家へと、ゆっくりと歩いて帰った。


まだ漠然としている二人で見る夢――。
それを語り合って、少しずつ形にしながら……。








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