恋は死なない。
「寿音は君に似てると思ってたけど、こんなところは僕に似てるね。僕も小さいとき、このイチゴのショートケーキが大好きだった。こんなケーキが自分で作りたくてたまらなかった。その小さい頃から僕が思い描いてた夢が、今現実になってるんだな」
佳音は、寿音から和寿へと視線を移して、優しく笑って頷いた。
「それに、君の作るウェディングドレスも、僕の目標だったんだ」
「私の作るドレス?」
まるで意味が分からず、佳音は首をかしげる。
「このショートケーキのデコレーションのやり方だよ。ウェディングドレスのフリルやドレープ。いつも見て研究してた」
「たしかに、似てるかも」
合点がいった佳音は、また柔らかく微笑んだ。意外なところに共通点があると知って、嬉しくなる。
「寿音と君に、どれだけ励まされたか分からないよ。君たちがいてくれたから、叶えられた夢だよ」
それを聞いて、佳音は胸がいっぱいになった。
自分を支えてくれた人たちが、緑の配された明るい店内の思い思いの場所で、和寿の作ったケーキを食べながら楽しそうに談笑している……。
佳音にとっても、こうやって和寿が自分の店を持つことは、ずっと夢見ていたことだった。