恋は死なない。




テーブルに着いてコーヒーカップに口に付けるところだった佳音は、首を伸ばしてその写真を確かめる。
すると、和寿はフォトスタンドを手に取って、佳音の目の前にそれを置き、佳音の向かいに腰を下ろした。


幸せそうに微笑む新郎と新婦の間に挟まれて、高校生の佳音が恥ずかしそうに肩をすくめている。


「これは、高校生の時、私が初めて作ったウェディングドレスです」


佳音の言葉を聞いた和寿は、驚いたように目を丸くし、もう一度写真をまじまじと見つめた。


「それじゃ、これは高校生の時の森園さん?…やっぱりこの頃から可愛かったんですね」


「………!?」


何気なく発せられた和寿の素直な感想に、佳音は不自然に反応した。何気なく聞き流したかったのに、自分の顔が熱を持って赤くなっていくのが分かる。

和寿の方も、佳音のこの反応を見て、自分が放ってしまった本心に気がついた。


「……そ、それに、この方は……!!」


和寿は恥ずかしさをごまかすように、フォトスタンドを手に取る。


「信じられないというか、あり得ないほどの圧倒的なイケメンですね。男の僕でも、見とれてしまうくらいに」


男の和寿でも、やはりそこに目が行ってしまうようだ。
それを聞いて、佳音も同意するように頷いた。



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