オフィス・ラブ #0
「新庄さん」
朝の騒動もひと段落した午後、新人が席にやって来た。
「朝は、ありがとうございました」
別にいい、と答えると、少し迷うそぶりを見せてから、頭を下げて戻っていく。
「もっと愛想よくしてあげろよ」
先輩である春日部が、あきれたように隣の席から声をかけてきた。
愛想。
「よくないですかね」
「よくないだろ、どう見ても」
せっかく久々の女子なのに、やめちゃったらどうするんだよ、と言われる。
その程度なら、やめてくれていい。
そう思ったけれど言わずに、手元の仕事に戻った。