オフィス・ラブ #0


「新庄さん」



朝の騒動もひと段落した午後、新人が席にやって来た。



「朝は、ありがとうございました」



別にいい、と答えると、少し迷うそぶりを見せてから、頭を下げて戻っていく。



「もっと愛想よくしてあげろよ」



先輩である春日部が、あきれたように隣の席から声をかけてきた。

愛想。



「よくないですかね」

「よくないだろ、どう見ても」



せっかく久々の女子なのに、やめちゃったらどうするんだよ、と言われる。


その程度なら、やめてくれていい。

そう思ったけれど言わずに、手元の仕事に戻った。



< 10 / 31 >

この作品をシェア

pagetop