オフィス・ラブ #0
担当している商品のラインに、アパレルブランドとコラボした特別仕様の製品が出ることになった。
コラボ相手の特色を活かして、これまでとはがらりと違う広告を目指す。
「男性ファッション誌、トレンド誌、モノ誌に共通の記事広告と、個別のタイアップを掲載して」
もう新人ではない大塚が、製品チームの面々に説明をする。
「そのページを編集した広告を、新聞4紙に、同時に15段の出稿をする案です」
「新聞を使うメリットは」
「コラボで若干ターゲットが若年寄りになるとはいえ、商品そのものの購買層はやはり、40代から50代です」
「そこを拾いにいくのは、散漫にならないか」
「マインドは30代、だけどライフスタイルは年相応、という層を狙うのは、決して手広すぎはしません」
かつ、といたずらっぽく笑ってつけ加える。
「原稿を一から作る必要がないので、言ってしまえばお得。4色15段のインパクトを活かせば、通るのでは」
と、思います。
そう締めると、製品のチーフである春日部がうなずいた。
「アリなんじゃないかな」
「俺も、いけると思いますね」
新庄も同意する。
まったく、頼もしくなってくれた。