オフィス・ラブ #0
「どうせならあと何紙かやりたいという要望も出るだろう。そのへんの可能性、探っといてくれ」
「はい」
こくりと、うなずきながら答える。
そういう仕草は、まだどこか幼い。
他、TVやWEBなど、各媒体の戦略が出そろったところで、解散となる。
会議室を出ると、先に出ていた大塚が電話をしていた。
「ええっ、嘘、嘘。できるでしょ」
ね、お願いします。
明るくねだるような口調に、思わず笑ってしまう。
意外にちゃっかりしたところもある。
武器は武器として使う、その姿勢は嫌いじゃない。
彼女の後に新人が入っていないため、いまだに部署の末っ子といった立ち位置だが、どうやら、着々と一人前の営業になりつつあるようだった。