オフィス・ラブ #0


新体制が敷かれた。

新庄は2年半ぶりに、メディアチームに戻ることになった。


チーフとして。


これまでメディアチームにはチーフが不在で、課長がそれを兼任していた。

肩の荷が降りたのか、弾んだ声音で、課長が新しい配置を発表する。


部員が集まった会議室内で、ふと大塚と目が合った。

彼女は、なぜか少し目を見開くと、慌てたようにそらす。


そうだ、彼女は、自分の部下になるのだ。





ひとりになった家は、思っていたほどの喪失感はなく、家具をいくつか持っていきたいと信じられないことを言う彼女には、喜んで差し出した。


引っ越そうかとも考えたけれど、残った家具もすべて入れ替えると、予想外にまったく違う家に生まれ変わり。

立地も気にいっているし、家賃もひとりで払える範囲なので、そのまま住むことにした。

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