瞳の中で誰よりも

夕紀さんの優しい瞳は、きっと彼女を思っての表情なんだろう。

とても穏やかな表情をしている。

普段私に向ける優しい笑顔とはまるで違う。


「華那ちゃんは彼氏と上手くいってないの?」


煙草に火をつけた夕紀さんはいつも私に向ける優しい笑顔で問いかけた。

何故だか、その笑顔に物足りなさを感じる。

私にもあんな表情を向けてほしい、なんて。


「好きって気持ちないんですよね」


馬鹿なことを考えていると思わず口を滑らせた。

最悪だ。

恐る恐る夕紀さんを見ると笑顔は消えて、少し変な顔で私を見ていた。


「なんで付き合ってんの?」


頭の中でうまい言い訳を試行錯誤するも、なにも見つからない。

本当に馬鹿だ。

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