瞳の中で誰よりも
ああ、そうだ。
誰にでも聞けば話が広がる質問あるじゃん。
「夕紀さんって彼氏さんとかいないんですか?」
これならどんな回答でも話を広げられる。
自信に満ちた表情で夕紀さんを見るとポカンとした顔で私を見つめていた。
と、思うと、プハッと夕紀さんは堪えきれなかったかのように笑い出した。
なんだろう。
「どうしたんですか?」
「いや、だって、ふふっ、僕に男とかできそうに見える?」
夕紀さんがこんなに笑ってる初めて見た。
なんとなく嬉しくなる気持ちと、聞かないほうがいい質問だったのかなという罪悪感。
違う話題降らなきゃ。
「夕紀さんは、なんで社員に」
「僕さ」
急いで違う話題を振った瞬間、夕紀さんによって遮られた。