瞳の中で誰よりも
夕紀さんの方を見ると、それもまた今まで見たことないくらいの優しい笑顔を浮かべていた。
「僕、彼女がいるんだ」
優しく優しく微笑む夕紀さん。
「華那ちゃんには言ってなかったかな、僕、性同一性障害なんだよ。体は女だけど、心は男」
私はその時、驚きはしなくて、ただ、言われてしっくりきたという感じだった。
ゴミ置場に重たいゴミ袋をぱっぱと置く夕紀さんはゆっくり振り返ってまた微笑んだ。
堂々として、幸せそうに笑う夕紀さんは、やっぱり綺麗で、格好良くて、
少し、苦しくなった。