君と出会えた奇跡


亜子との思い出を片っ端から捨てた。

プリクラ、お揃いのストラップ、マスコット。

全部全部捨てた。

部屋をノックする音も全部無視して、

泣き叫ぶ心を無視して、全部捨てた。

ドアが開いた。


「唯?何してるの?」


お母さんの驚きに満ちた顔。

私は、そんなお母さんを冷たく見つめた


そして、その場で、

私は、ジャージを脱いだ。

露わになる、

古い痣から、新しい痣

カバンを下にひっくり返した。

しね、などが入った紙

切り刻まれた教科書、

ぐちゃぐちゃのノート

びしょびしょの制服


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