君と出会えた奇跡
「……き。」
玲くんが振り返る。
「唯?」
「玲くんが、苦しいくらいに好きっ!
玲くんに抱きしめてもらわないと、涙も止まんないしっ!
玲くんの隣にいないと、笑えないしっ!
玲くんがいたからこそ、私は、声が取り戻せた。
今頃気づいてごめんなさい。
子供がいるのに。ごめんなさい。
だけど、
誰よりもっ!
玲くんが大好きっ!
玲くんは、私にとって、守りたい存在なんだよっ、」
叫ぶ声。
今日久々に出た声だというのに、
無理しすぎて喉が痛い。
けど、
ボロボロ溢れる涙、
歪む視界の向こうに見えたのは、
玲君が、顔をおおって、
涙を流す、姿だった。
「ごめんなさい、迷惑、だったよね、
スマホも返すね、
お兄ちゃんのところに行くから、安心して。」
と、後ろを振り返り、
走り出そうとした時、
愛しい人の温もりに包まれた。
お腹に回る、腕。
私は、泣きながら、その腕を抱きしめた。