弱虫ワタシと俺様カレ【完】
「ふ、ふざけないでよ…!」
バチンッ!
私は田崎を振り切り頬を叩いた。
思わず反動でしてしまい動揺を隠せずそのまま教室を走り去った。
「あ!おいねーちゃん!」
「なぁ宇佐美。どうしたら沙乃は俺のほうを向いてくれるのかな」
「…は?それライバルに聞くことか?」
「もう何にでもいいから縋りてぇんだよ」
「俺はなんも教えませんよ」
「…こんなに女に惚れ込むの初めてなんだ」
「え?先輩めっちゃ恋してそーなのに」
「そんなの肩書だけだろ」
田崎先輩はおかしくなったように俺に全てを打ち明け始めた。
ライバルだから容赦しないと言っていた人がまるで別人だった。
「先輩はどうしたいんですか?」
「俺は…沙乃に…いや、沙乃が欲しい。沙乃に好きになってもらたい。沙乃と……恋人になりたい。」
「先輩欲望多いですね〜」
そういって俺は苦笑した。
ライバルなのに打ち解けてしまった。
でも、これで良かったのかもしれない
もちろん俺も沙乃が好きだから
沙乃に笑っててもらいたいから…