弱虫ワタシと俺様カレ【完】
✿番外編✿ 寒い夜
ある日、私は外に出ていた。
外は秋から冬へ季節が移り変わるのを実感させられるような寒さだった。
「寒っ…!」
ふく風はとても冷たく、上着を着てない沙乃にとっては強敵だった。
「上着着てくればよかった…」
と呟いて空を見上げると、そこには沢山の星がキラキラ輝いていた。
「わぁ…星綺麗〜!」
「俺は沙乃も綺麗だと思うけどな〜」
「え!?田崎!?」
「よっ!」
「よっ!じゃないでしょ!」
急に隣に現れた彼は田崎蓮斗というチャラい俺様男子。
「俺はランニングの最中に沙乃が見えたからここに来ただけだっつーの」
「そ、そうなの…?」
「なに?期待しちゃった?」
イタズラっぽく笑う田崎に私はそっぽを向いた。
「勝手にゆってればー?」
「つれないなー。なぁ沙乃」
「なに?」
「早く俺の女になれよ」
「は!?」
「ほら!じゃあな!」
そう言って田崎は自分の着ていた服を私にかぶせて走っていった。
「寒いのに無理すんなよー!」
「うるさい!」
その上着は田崎の匂いが染み付いていて、香りは風とともに舞っていった。
「馬鹿田崎…」
夜空はとても綺麗で私を変な気持ちにさせた。