弱虫ワタシと俺様カレ【完】
❀第六話❀ ココロ
あれから私は田崎を避けるようになっていた。
まだ心が重く田崎を見るたび表情が曇り、その場を立ち去りたいと強く思うようになっていた。
美里と話してる途中、角を曲がったところで田崎と偶然会った。
私は目を逸らして足速に去ろうとした
「あ!おい沙乃!」
「…」
「聞いてんのか沙乃!なぁ!」
「…」
田崎が小走りで私のほうに来るが私は振り返ることなく前を見て行った。
「沙乃…?田崎はいいの?」
「美里…、いいよあんな奴」
美里が少し戸惑った様子で私に話しかけてきた。
そうすると今度は田崎が私の肩を引いて強引に此方に向かせた。
「なっ、なによ!」
「なんで俺のこと避けんだよ」
「あんなことしといて有り得ない!」
「ちょ!待てよ沙乃!」
思いっきり反対を向きそのまま私は勢いに任せて走った。
「…?ねーちゃん?」
「清太!?」
「どうしたんだよそんな走って」
「じ、実は田崎が…」
「蓮斗先輩?なんかあった?」
「田崎の奴わけわかんない!」
怒りを露わにする私に清太はそっと手を握り笑いかけた。
「大丈夫、だから逃げんなよ」