弱虫ワタシと俺様カレ【完】
意外だった。清太と田崎は敵対していたのに清太が田崎をかばうなんて。
「蓮斗先輩の話しちゃんと聞いてやれよ」
「な、なんで清太が…」
「俺さ、ねーちゃんのこと諦める」
「…へ?」
「すぐにとかは無理だし、まだ好きだけど少しづつ諦める」
「うん、それでいいんだよ」
「それで…蓮斗先輩に譲る」
「…は!?なにゆってんの!?」
さっぱり理解できないでいる私を他所に田崎は私の所に辿り着いていた。
「…沙乃」
「な、に…?」
「すまなかった!」
そう大きな声で言うと深々と田崎は私に頭を下げてみせた。
「沙乃の気持ちも考えないであんなことして…とられたくなくて」
「…もういいよ」
「え…沙乃!?」
そう言って私は下を向いた。
ストレートの少し癖がまじった肩下まである長めの髪が私の顔を隠した。
「もういいの!いい加減にして!」
「ご、ごめん!だから沙乃…」
「ふざけないでよ!散々人を振り回しておいて何なの!?結局何も本当のこと私にゆってくんないし意味わかんない!!」
「…俺理解できてなかった沙乃のこと」
怒りに満ちた私は爆発した。本当は言うつもりはなかったがつい言葉が出てきてしまった。
そして、田崎は私をじっと見て私の髪をどかし頬に手を添えた。
「全部、話すよ」