お嬢様はじめました。
ここ数日は家に帰り着くと荒木さんとダンスの特訓。


上手くなってる気がしない。



「本日はここまでに致しましょう」

「ありがとうございました」



荒木さんに頭を下げて思わずため息がこぼれた。


ヤバイ。


マジでヤバイ。



「自信を持って下さい」

「…………」

「葵お嬢様は旦那様と良く似ていらっしゃいます」

「お祖父ちゃんと?」

「自然と周りの目を惹きつけます。 その魅力を最大限に活かせばいいんです」

「活かすって…どうやって……」

「踊りを誘われたら笑って堂々と相手の手をとり、俯かず胸を張るんです。 そうすれば必ず上手くいきます」



わ__っ、荒木さんが笑った。


微笑んだ?って言った方が近いかもしれない。



「葵」

「お祖父ちゃん!? 帰ってくるの来週じゃなかった!?」



仕事で海外に行ってる筈のお祖父ちゃんが部屋に入ってきた。


暫く会ってなかったけど、元気そう。



「予定が変更になってな。 ダンスの練習は無事済んだのか?」

「無事かどうかは分かんないけど、取り敢えずやれる事はやったよ」





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