お嬢様はじめました。
お祖父ちゃんは優しい顔で笑うと「ついて来なさい」と言った。


連れて来られた部屋に入ると、ピンクベージュと黒のバイカラーのカクテルドレスが飾られていた。


ピンクベージュのところがレースになっていて、すごく上品なドレス。



「舞踏会に着ていくといい」

「え?」

「葵が気に入ったならの話だが」



いつも忙しくしてるのに、わざわざ私の為に用意してくれたの?



「気に入らないわけないじゃん!! こんな可愛いドレス!! ありがとうお祖父ちゃんっ!!」

「ははっ、喜んでもらえたようで安心したよ。 ドレスに合わせて他にも用意してある」

「……え?」



お祖父ちゃんは笑顔でメイドさんたちを呼ぶと、次々と並べられる付属品。


靴にネックレスに髪飾りにイヤリング……その他諸々。



「こんなに!?」



一体いくらすんの!?


どれも高そうに見えるのは私だけ!?



「気に入らないものがあれば好きな物に変えるといい」



いやいやいや!


そんな話じゃないでしょ!!


たかが学校行事なのに……。



「後でゆっくり見てみる……」



お祖父ちゃんには悪いけど、こんなキラキラしたアクセサリー怖くて付けらんない。


肩こりそう。


ドレスと靴だけ素直に受け取ろう。


それにしても、お祖父ちゃんってば恐ろしい。





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