お嬢様はじめました。
舞踏会当日。


ギリギリまで荒木さんにダンスの練習に付き合ってもらった。


何度踊ろうと自信はつかない。


だけど髪の毛をセットしてもらって、ドレスアップした自分の姿を鏡で見たら、恥ずかしいけど楽しくなった。


オシャレすると気分が上がる。


それにこんな格好初めてで余計楽しくなった。


ドレスと靴だけでいいとお祖父ちゃんに言うと、シュンっとされてしまい、プラスでイヤリングも受け取ることになった。


お花をモチーフにしたイヤリング。


可愛いけど真ん中のキラキラしたストーンはきっとダイヤモンドだろう…と思う。



「あ__っ!」



イヤリングを見ていて思い出した。


お婆ちゃんのジュエリーボックス!!


あまり大きくないアンティーク調のジュエリーボックス。


お婆ちゃんの宝物の一つ。


その中にある幾つかのアクセサリーから、指輪を取った。



「ありゃ……」



色んな指にはめてみたけどしっくりくるのは薬指だった。


せめて右手の薬指にはめよう。


お婆ちゃん、今日上手くいくように見守っててね。



「よし!」



気合いを入れて部屋を出ると、荒木さんが立って待っていた。




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