お嬢様はじめました。
玲は立ち上がると私の目元に触れた。


暖かい指先。


微かな温もりを感じて恥ずかしくなる。



「泣いた?」

「え?」



玲は隣にいるミーちゃんを睨みつけた。


絶対誤解してる!!



「違う! いや違くないけど! 泣いたのは昔の事思い出したからで、ミーちゃんのせいじゃないから!!」

「……ミーちゃん?」



ミーちゃんは困った顔で私たちの事を見ていた。



「ミーちゃん、紹介するね。 友達の__」

「し、知ってるよ! モデルのレイ!! モデルやってて知らない人いないから! え!? まさか今日の見学ってレイさんの!?」



玲さん?


ミーちゃんの方が年上なのに?



「やっぱり玲って有名なんだね」

「どうだろうね」



このミーちゃんの慌てよう。


きっと玲はモデル業界の中でも凄い人なんだろうな。



「昔お隣に住んでた未知瑠(みちる)ちゃん。 ばったり再会してね、色々話ししてたら私泣いちゃって……」



「ははっ」と笑うと玲に頭をくしゃりと撫でられた。


漸く安心したような顔をしてくれて、私もホッとした。


玲は実は心配性……な気がする。





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