お嬢様はじめました。
思わず笑うと玲にムッとした顔をされた。



「ナニ?」

「ははっ、何でもない」



玲はハーっとため息を漏らした。



「さっきのは忘れて。 葵が話したくなったら話してくれればいい」

「……分かった。 それより、私も玲の事何も知らない」

「そう?」

「そうだよ。 だから教えてよ」

「そんなに知りたい?」



余裕の笑みで顔を覗かれた。



「知りたい」



素直に返すと玲は嬉しそうに笑った。


玲がうんざりするぐらい私は玲の事知りたいって思ってるよ。


もっと知りたい。


もっと理解したい。


その気持ちと同じくらい私の事も知ってほしい。


そう強く思った瞬間、お祖父ちゃんの事をちゃんと話そうと心に決めた。


玲に連れられるがまま来た場所は大きなお屋敷だった。


お庭もお花がたくさん咲いていて綺麗。


うちのお庭とは雰囲気がだいぶ違う。


うちよりもお花が多いのか、色とりどりで華やかだ。


てかここ何処!?



「ここは?」

「俺の家」

「え!?」



お家の中に入ると当たり前のようにメイドさんが出迎えてくれた。


見慣れたとはいえ、やっぱりどこか落ち着かない。





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