お嬢様はじめました。
案内された部屋の大きな窓からは、広いお庭を一望できた。


上から見ても綺麗。



「座れば?」

「もう少し見ててもいい?」

「そんなに気に入った?」

「気に入った!」



何をそんなに気に入ったんだか、と言わんばかりの顔をされた。


玲はきっと見慣れてるんだろう。


小さい頃両親と行った植物園だってここまで綺麗だったか分からない。



「ミーちゃんにね、お母さんたち元気にしてる?って聞かれたんだ」

「…………」

「家族ぐるみで仲良かったから。 だからもうお父さんもお母さんも居ないって話してたら、なんか、色々思い出しちゃって……それで泣いちゃった」



っ!?


突然背後から抱きしめられて、胸が高鳴った。



「れ、玲!?」

「今は?」

「へ?」

「泣きそう?」



ほんの少し玲の胸に寄りかかった。


ドキドキするけど幸せ。



「今はもう大丈夫。 心配してくれてありがとう」

「兄妹は?」

「いない。 でもお祖父ちゃんがいるから寂しくないよ?」

「そう、それなら良かった」



家の事話すなら今かな?



「そ__」

「俺には兄が1人いる」



話を切り出そうとしたら玲に遮られてしまった。


……後で話せばいっか。




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