お嬢様はじめました。
「……玲は、この先もモデルの仕事を続けていきたいって思ってるの?」

「今のところはね。 でもモデルの寿命は短いから、ゆくゆくはそれに携わる仕事か、他に興味を持てる仕事を探すだろうね。 まぁ兄の補佐でもいいと思ってるしね」

「そう……」



気分が沈んでいく。


お祖父ちゃんの事言えない。


私と玲、個人の事ではあるけど、できるだけ自由に生きたいと思ってる玲に話をする勇気はなかった。


前に華と樹希が言っていた事を思い出したから。


"私と付き合う人、結婚する人は宝生院の重みを背負うことになる"


そう言われた。


結婚は分かるけど何故付き合ってる人まで?と思った。


その疑問に答えてくれたのは樹希だった。


宝生院グループを将来担うかもしれない人物は、周りから厳しい目で見られるだろうと言われた。



「どうした?」

「へ?」

「急に静かになったから」

「いや、なんか小腹がすいたなって……」

「お茶にしよう」



いつの間にか用意されていたお茶とケーキ。


沈んでる気持ちを誤魔化すようにパクパク食べた。


玲に笑われ私も笑った。


いつか玲の彼女になれたらいいなって思ってた。


でもその気持ちは封印しなきゃいけない。


玲の事が好きだから。


その日の夜はベッドの中でひたすら泣いた。


胸が張り裂けてしまいそうだった。





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