お嬢様はじめました。
やっぱり舞踏会の時に玲と一緒にいた人だ。


でもこの感じだと私の事は知らない?


まぁ私が一方的に見てただけだし、知らなくて当然かも。


ホッと胸をなでおろした。



「わざわざ来てもらってすまなかったな」

「いいえ、僕が早くお渡ししたかっただけですから、お気になさらないで下さい」



そう言うと海堂くんは手に持っていた封筒をお祖父ちゃんに渡した。


お祖父ちゃんと2人で海堂くんの事を玄関先までお見送りした。


それにしても同い年とは思えないくらいしっかりした人だな。


スーツ姿も違和感なかった。


着慣れてる感じ。



「今日は何していたんだい?」

「華と樹希のお家で夏休みの課題してたんだ。 だいぶ進んだよ」

「そうか。 早く終わらせて思う存分休みを楽しみなさい」

「あははっ、そうだね! お祖父ちゃんも少しはゆっくり出来る時間できそう?」



お祖父ちゃんはサッと視線を逸らすと「まぁ、そうだな」と言った。


絶対嘘でしょ!



「たまにはお祖父ちゃんともゆっくり過ごしたいのに……」



シュンッとしてみせるとお祖父ちゃんは慌てて「分かった」と言ってくれた。


最近お祖父ちゃんの性格が分かってきた気がする。


なんか可愛いんだよね。


おばあちゃんがお祖父ちゃんのどういうところが好きだったのか、今なら分かる気がする。




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