お嬢様はじめました。
案内された部屋で私は固まった。


え……何で?


お客様って誰ですか?って聞かなかったのは私だけどこの人なら言ってほしかった……。



「こんにちは。 突然お邪魔してすみません」

「あ、いえ……おじ__祖父に用事ですか? でしたらすみませんが祖__」

「いえ、本日は葵さんとお話ししたくてお邪魔しました」



紳士な笑みを浮かべる海堂くん。


舞踏会で見た時はこんな紳士なイメージなかったけど……。


てか私に話って何!?



「どうぞお掛け下さい」



私は海堂くんと向かい合うように座った。


荒木さんはお茶の準備で部屋を出て行ってしまった。


広い部屋に2人きり。


気まずさしかない。



「さっそくですが……」

「はい」



ニコッと笑った海堂くんに笑って返した。


が!


さっきまで笑っていた海堂くんの顔から表情がサッと消えた。


え?



「あんた、舞踏会の時玲と踊ってたよな?」

「…………」



海堂くんは気怠そうに足を組むと背もたれに寄りかかった。


急な変わり様についていけない。



「宝生院会長に孫娘がいるって聞いた時は驚いたけど、まさか一般科にいたとはね。 探しても見つからない筈だ。 で?」

「へ?」



キッと睨まれ背筋が伸びる。


この人やっぱ私の事覚えてたんじゃん!


しかも態度悪っ!


怖っ!



「玲の奴を脅してんじゃねぇだろうな」

「は!? 脅す!? 脅すって何!?」



何で私が玲の事威さなきゃいけないわけ!?


感じ悪い!





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