お嬢様はじめました。
何をどう考えたら利なんてあるわけ!?



「あるパーティーで宝生院会長がポロっと言葉を漏らした。 『孫娘が待っているので私はそろそろ失礼する』とね」

「……それが?」

「会長が仕事以外に優先するもの、それがまさかの孫娘。 これだけで溺愛しているのは明白だ。 その日から会長の孫娘の噂でもちきりになった」

「え!?」



お祖父ちゃんってば!


外でもジジ馬鹿なんだから!



「幸い孫娘の名前は公にはまだ知られていない。 だが、宝生院会長とお近付きになりたい奴らは、意地でもお前を探し当てるだろう。 そうなれば玲にバレるのも時間の問題だな」



私が玲を脅してるって言ってたけど、今まさにあんたが私を脅してるじゃん!


ムカつく!!



「で? 私の利は何!?」

「お前はバカか? バカだろ」

「…………」



玲は何でこんな人と仲が良いんだろう。


悪いけど私には分かんない。



「俺と婚約してるとなれば無闇矢鱈とお前を探すものも近づくものもいなくなる」

「……なんでよ」

「俺は海堂グループの後継者、海堂 隆輝だ。 そんな俺にケンカを売る奴はそうそういない。 どうする? 今すぐ玲にバラされるのと、俺と手を組んで楽しい時間を延ばすか……選べ。 今この場で」






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