お嬢様はじめました。
頭の中がグチャグチャ。


この場で選べって……。


え?


何?



「この沈黙はどう解釈すればいい?」

「…………」

「分かった。 玲には俺から話をつけておいてやるよ」



そう言って海堂は立ち上がってドアに向かって歩き始めた。



「なんだよ」



出て行こうとする海堂の肩を掴むと、海堂は冷めた目で私を見下ろした。



「私が婚約者になれば、私がお祖父ちゃんの孫だってばれない様に協力してくれるんだよね!?」

「あぁ、そういう事になるな」

「私は名前を貸すだけで実害はないんだよね!?」

「恐らくな」

「恐らくって何!? ハッキリしてよ!!」



海堂はため息を吐くと私の手を払いのけた。



「先の事だ。 100%などない。 だが今ハッキリとしてる事は俺の話をのまなければ、お前が玲とは今のままの関係ではいられなくなるということだ」



私は海堂を睨みつけて肩を思いっきり叩いた。



「お前__」

「あんたなんかと本当に結婚なんてしないんだからね!!」

「俺だってお前みたいな女願い下げだ」

「あっそ!!」



私は今の玲との関係を取った。


この決断が良いことなのか悪いことなのかは今は分からない。


幸せな時間を少しでも多く感じたかった。


悪魔に魂を売った気分だ。





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