お嬢様はじめました。
やっぱりまずい事をしてしまったんじゃないかって、今更ながら思った。



「噂通りの人だね」

「へ?」

「海堂グループは宝生院グループ程ではないけど、大きなグループだよ。 だからそこの御曹司である一人息子の隆輝君は好き放題してるって噂。 父親以上のやり手になるんじゃないかって言われるくらい頭もきれるみたい」



それならあの自信たっぷりな態度も頷ける。


それから人を見下すような目も。



「海堂君の言う通り、婚約者ってなればみんな下手に詮索はしないと思うけど、鳳君に知られたら辛いんじゃない?」

「辛い、よ……でも、今宝生院ってバレて関係が崩れる方が辛いかな」



私が笑うと華は困ったように笑った。



「それに婚約者のフリするだけだし、私の事がみんなにバレたらフリも終わるし、大丈夫だよ」

「……辛い事とか困った事があれば直ぐ言ってね? 力になりたいから」

「ありがと! 樹希に話したらすっごい怒られるんだろうなぁ〜」

「頭からツノ生えてくると思うよ」



華は頬を膨らませて頭の上で指を立てた。


こんな可愛い鬼なら大歓迎。



「あははっ、その時は助けてね!」

「きびだんご用意しておくね」

「えぇ〜それって鬼にも効果あるの!?」

「ふふっ、分かんない」





< 148 / 194 >

この作品をシェア

pagetop