お嬢様はじめました。
海堂に聞かれる度に『あれは綿あめ!』『人形焼き!』などと答えていたら、玲に手を引っ張られた。


見上げると玲はブスくれた顔をしていた。


思わず笑うと玲は眉間にしわを寄せた。



「今笑うとこ?」

「ごめん、だってそんな顔もするんだって思ったら可笑しくて。 どうしたの? 玲も気になるお店あった?」

「冷たいもの食べたい」

「じゃあかき氷食べよう」



近くにあったかき氷屋さんに立ち寄ると、玲は真剣な顔で味を選び始めた。



「お腹壊したりしないでしょうね?」



橘さん失礼だから!


幸いお店の人には聞こえていなくてホッとした。



「お腹壊した人見たことないけど……」

「そう? それなら買ってみようかしら」



この人も神園さんとは違うがザ・お嬢様だ。


屋台で食べ物なんて今まで買った事ないんだろうな。


其々好きな味を買ってまた歩き始めた。


初めての食べ歩きなのか、橘さんは「上手く食べられない!」と若干怒りながらかき氷を食べている。


この人の反応ある意味ちょっと面白いかも。





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