お嬢様はじめました。
花火がよく見える穴場スポット。


この場所は小さい頃にお父さんとお母さんが連れてきてくれた。


小学校の途中までは3人で毎年来ていた場所。



「やっと人混みから抜けたわね。 もぉ足が痛くて最悪。 椅子とかないわけ!?」



見れば分かるでしょ。


椅子なんて便利なものないから。


私は石垣を差した。



「座る場所あそこしかないから」



橘さんは「ほんっと最悪!」と悪態をつきながらも石垣に座った。


お上品にハンカチを広げて……。


場所とか構ってられないくらい足が痛いんだろう。


普段こんなに歩くことないだろうしね。


人混みにも慣れてないだろうし、かなり疲れてると思う。


普段から歩き慣れてる私でさえ、ちょっと疲れてる。


華も神園さんも座るときにハンカチを広げた。


普通女の子ってそうなの?


私は何も敷かずに石垣にお尻を下ろした。


すると玲に笑われた。



「何!?」

「いや、葵らしいなと思って」



それどういう意味!?


玲の前では女の子らしくいたいって思ってるけど、玲の周りにいるお嬢様たちに比べたら私はガサツで女の子らしさなんてないのかもしれない。




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