お嬢様はじめました。
中学の時、彼氏と呼べる人はいた。


でもキスもなければ手も握ってない。


気付けば一緒にいる事は無くなっていた。


所謂自然消滅。


今回もそうなりそうで怖い。



「葵ちゃんといる時のレイさんってどんな感じ?」

「ん〜……マイペース?」

「あははっ、そうなんだ」

「あとね、たまに子供みたいな顔するよ」

「そうなの? 意外〜〜」



花火大会の時の玲を思い出して思わず笑ってしまった。


ちょっと拗ねた顔をした玲は可愛かった。



「でも、モデルの仕事の話しをしてる時の玲は凄くカッコイイよ」



いろんな事がどうでもよさそうな玲。


そんな玲が仕事の話しをする時は真剣な目をする。


その目が忘れられない。


先のない恋愛だって分かってるのに、付き合うなんて許されるのかな?


私は夢を見てもいいのかな?


おばあちゃん……私はどうしたらいいんだろ。



「モデル仲間でレイさんのファン多いよ。 空もレイさんの事大好きだし」

「空が?」

「意外でしょ? でもレイさんの載ってる雑誌即買いするくらい大ファンだよ」



ギャル雑誌のモデルをしてる空がレイのファンってかなり意外だ。


正反対のタイプなのに。



「モデル楽しい?」

「楽しいよ! 辛い事もあるけど、もっといろんな仕事したいって思ってる」



そう言ったミーちゃんの目もキラキラしていた。


昔から何事にも一生懸命なミーちゃん。



「今の夢はね、クラリティーのイメージモデルになる事」

「クラリティーって化粧品の?」

「そっ! そこのコスメも好きだけど、イメージモデルになれたらモデルとして未来が拓けるって言われてるんだよ」





< 161 / 194 >

この作品をシェア

pagetop