お嬢様はじめました。
大きな窓から見える夜景。


綺麗だけどあまり感動しない。


一緒にいるのが海堂だからかもしれない。


何してるとか場所よりも誰と一緒にいるかが大事。


お店の人は気を利かせてくれたんだろうけど、隣同士に座るソファーじゃないところにしてほしかった。



「コーヒー」

「アイスカフェラテ下さい」



「何が飲みたい?」とも聞かれることなく、自分で注文した。


玲はいつも聞いてくれる。


ソファーに背中を埋めフーっと息を吐き出した。



「もうみんなでご飯とかないよね?」

「暫くはないんじゃねーの」

「それならいいんだけど」



とにかく疲れた。


何よりお祖父ちゃんのことを騙してると思うと心苦しかった。


それから私たちの間に会話はなくて、お互いボーッと夜景を眺めた。


無駄に笑いすぎて顔が痛い。


何話したかもよく覚えてないし。


あ……あの事海堂には話した方がいいのかな?


話した方がいい……よね?



「あのさ……」

「何だよ」

「玲と付き合う事になった」

「……はぁ!?」



そんな反応されるとは思ってたよ。





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