お嬢様はじめました。
「好きな奴と結婚する奴なんてそうそういねぇから」

「え? 何で?」



好きな人と結婚するのって普通の事なんじゃないの?


てか好きでもない人と結婚する意味って何!?



「仕事ありきの結婚だからな」

「は? どういう意味?」

「お前マジでバカ。 ビジネスにプラスになる結婚をするのが普通なんだよ、俺たちは。 親の決めた相手と結婚する……俺たちは親の道具でしかない」

「そんなの変だよ! それでいいわけ!?」

「生まれた時から決まってる。 そう教育されて育つ。 疑問を持つ奴の方が珍しい」



何それ!?


酷い……。


あれ?


ちょっと待って……。



「玲……は?」



外を見ていた海堂と目が合った。


いつものバカにする様な目じゃなくて、凄く真剣な目をしている。



「……あいつには物心ついた頃から婚約者がいる」



婚約者……。


ふと、松本さんの言っていた事を思い出した。


『恋愛できる期間は決まってる』っていうのは婚約者がいるから?



「私が宝生院だってバレてもバレなくてもずっと一緒にはいられないって事じゃん……」



何それ……。





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