お嬢様はじめました。
結局海堂とはどこかに出掛ける気分にはなれなくて、お家にお邪魔することになった。


へたに出かけて誰かに見られてもまずいから。


私が行くようなところには特別科の人はいないと思うけど、海堂はそんなところには一緒に行かないだろう。



「お邪魔します」



凄く広いお家。


お庭も広かった。


お金持ちのお家はどこもこんなに広いのか。



「宝生院様、隆輝様のところへご案内いたします」



眼鏡をかけた執事さん。


「よろしくお願いします」と頭を下げると驚かれた。


荒木さんも最初は驚いてたし、「使用人にその様な態度はおやめ下さい」と、言っていたけど、もう慣れたのか何も言われなくなった。


最初は少し窮屈な感じがしていたのに、気付けば荒木さんの存在は心強くて安心する存在になっていた。


_コンコンコン。



「宝生院様がお見えでございます」

「入れ」



今日も変わらず偉そうな海堂の声。


ドアを開けてくれて部屋に入ると、執事さんは速やかに何処かに行ってしまった。





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