お嬢様はじめました。
広々とした部屋に置かれたソファー。


海堂は優雅に座ってお茶を飲んでいる。



「突っ立ってないで座れ」



命令口調。


もっと優しい言い方出来ないわけ?


海堂の斜め向かいのソファーに座った。



「で?」

「で?って何?」

「何すんの? 今日」

「…………」



そんな事私に聞かれても困る。


とにかく外に出たくないけど、疑われない為に来ただけだもん。



「俺はお前みたいに暇じゃねーんだけど?」

「暇そうに見えるけど?」

「バカか。 お前と違って仕事してんだよ」

「仕事って? お使いとか?」



海堂は盛大なため息を吐くと、呆れた顔をした。


だってこの前お祖父ちゃんに書類届けに来てたじゃん。



「グループの仕事に携わってる。 少しだけどな」



まだ高校生なのにお家の仕事?


少し見直してしまった。



「じゃあ仕事したら?」

「お前は何すんだよ」

「……適当に何かするよ。 本とかゲームとか? まぁ邪魔しないからお仕事どうぞ。 適当に時間潰して帰るよ」

「あっそ。 必要な物とかあれば使用人に言え」



そう言うと海堂は窓際のテーブルのところに移動して、ノートパソコンを開いた。


変に気を使われるより気が楽だ。





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