お嬢様はじめました。
「で? アリバイって何だよ?」

「玲に旅行に誘われたんだけど、行くなら誰と行くのか言わないといけないから……」

「成る程ね。 玲と行くなんて言えるわけないよな」

「…………」



そうなんですよね。


言える訳ないんですよね。


海堂からお前馬鹿だろみたいな目で見られる。


もう慣れっこ。



「何処行くんだよ」

「え!? そんなとこまで話さないとダメ!?」

「お前馬鹿だろ。 俺も知ってないと万が一聞かれた時嘘だって直ぐ暴露るだろーが」

「協力してくれるの!?」

「そうとは言ってない」



え!?


そんな流れだったじゃん!!



「協力してやる代わりに俺にも協力しろ」

「え? 私が?」



私に出来るようなこととかある?


ない気がするんだけど……。



「宝生院会長との会食をセッティングしてくれ」

「へ? おじいちゃんとの?」



会食って食事の場って事だよね?



「そんな事でいいの?」



海堂はムカつくくらい盛大なため息を吐いた。



「お前は本当に何も分かってないな」

「え!?」

「お前にとっては当たり前な会長との食事も、俺たち外部の人間にとってはアポを取るのも話をする事も難しいんだよ。 ましてや食事をしながらゆっくり話が出来る事なんて滅多にない。 経営者にとってそれは貴重で夢の様な時間だ」





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