お嬢様はじめました。
温泉当日、玲が迎えに来てくれることになり、元々住んでいたマンションのエントランスで連絡を待った。


もう着くよと連絡が入ってすぐに黒塗りのリムジンが見えた。


連絡もらわなくても玲だってすぐ分かる。


本当、悪目立ちするよね……。



「あ、ありがとうございます」



玲の執事さんがドアを開けてくれた。



「おはよう」



まだ眠そうな玲に声をかけると、眠そうな笑顔で返された。


可愛い。


隣に座った途端肩に頭を乗せられた。


柔らかくてサラサラしてる髪の毛がくすぐったい。


シャンプーのいい匂いがする。


いつもいい香りがするからついつい嗅いじゃう。



「昨日もお仕事遅かったの?」

「そこそこ?」

「じゃああんまり寝れてない?」

「まぁね」

「寝ていいよ?」

「ヤダ。 勿体ない」



少し子供っぽい玲を見ると嬉しくなる。


雑誌に載ってる玲からは想像できない姿だから。


みんなは知らない玲の姿。



「今は寝て、起きたらいっぱい構ってよ」



半ば強引に玲の頭を膝の上に乗せた。



「柔らかい」

「え!? 太ってるって言ってる!?」

「ははっ、違うよ。 安心する」



髪の毛をすくように撫でていると、直ぐに子供のような可愛い寝息が聞こえてきた。


きっと無理して予定開けてくれたんだろうな。



「ありがとね」





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