お嬢様はじめました。
だれ……?



「おばあちゃんに会いに来てくれたの?」



男の人は私を見るとビックリした顔をした。



「葵(あおい)!! 部屋に入ってなさい!!」



お母さんの怒鳴り声にビックリして肩が飛び跳ねた。



「葵というのか。 良い名だ。」

「おばあちゃんが付けてくれたんだよ。 だから私も私の名前が大好きなの。」

「葵っ!!」



さっきよりも大きなお母さんの怒鳴り声。


慌てて部屋に戻った。


部屋の中に居てもお母さんの怒鳴り声は聞こえてくる。


怖くて耳を塞いだ。


何度も心の中でおばあちゃんを呼んだ。


もう会えないんだ……おばあちゃんに会えないんだね……。
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