お嬢様はじめました。
確かに表情は豊だったかも。


でも基本いつも笑顔だった。


怒ってるところも殆ど見た事ないかもしれない。



「どれほど仕事が上手くいこうと、菊代にも里美にも何もしてやれなかった私は無力感に襲われた。 葵と一緒に過ごしたい思いは勿論だが、妻と娘への償いの思いもある。」

「お祖父ちゃんも辛かったんでしょ? それなのに償ってほしいなんてお祖母ちゃんもお母さんも望んでないよ。 ね?」



私が笑うとお祖父ちゃんは少し困った様な笑みを浮かべた。


お祖父ちゃんの胸の中は申し訳ない気持ちでいっぱいなんだろうな。


_コンコンコン。



「失礼致します。」



浅賀さんがワゴンを押しながらへやに入ってきた。


そう言えば飲み物用意しに行ってくれてたんだった。


部屋を出て行ってから結構経つけど、もしかして私が泣いてたから入ってくるの遠慮してくれてた……のかな?



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