お嬢様はじめました。
今度は顔をマジマジと見られ、恥ずかしくなってきた。


恥ずかしさに耐えきれず、視線を落とした。


逃げたいけど下手に動くと唇が触れちゃいそうで、心臓がバクバクしながらも身動きが取れなかった。


ん……?


不意に唇に柔らかな感触がした。


キ、ス……?


そう思った時には唇から柔らかな感触はなくなっていて、唖然と男子生徒を見つめた。



「あ、あの……今の、キ、キ、キ、ス……?」

「キスだね。」

「なん、で……?」

「さぁ、なんとなく。」



涼しい顔でサラッと言われて頭にカッと血が上った。


私は手を振り上げ男子生徒の頬めがけて振り下ろした。


っ!?


けどその手はいとも簡単に男子生徒に掴まってしまった。
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