お嬢様はじめました。
あんなに頭悩ませて解いたのに……嘘でしょぉ……。


私の時間と努力を返して〜!!


頭を抱えて落ち込んでいると、横でガタンっと音がした。



「……玲?」

「名前覚えてたんだ。」



私の隣に座った玲は、すらっと伸びた足を組むと頬杖をついて私の顔を覗き込んできた。


視線が絡まって、何故だか玲の目から視線を逸らせなかった。


不思議な人。



「教えてあげる。」

「で、でも……。」

「このままだと赤点確実だけど?」

「…………。」



確かに……。


ここまで馬鹿だと今更先生に教えてもらうのはちょっと恥ずかしいかもしれない。


背に腹は代えられない、か……。
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