お嬢様はじめました。
これって何言っても引かないって事?



「何、するの?」

「何でもいいよ。 葵がしたい事しよう」



私がしたい事?


そんな事急に言われても全然思いつかない。


それにいくら玲が分かり易く勉強を教えてくれたからって、勉強ダメダメな私がいきなり平均70点以上取れる気がしない。



「テストが全部返ってくるまでに考えておいて」

「……分かった」



平均70点は絶対行くだろうみたいな口ぶり。


私次第なのに、この自信は一体どこから湧いてくるんだろう。


そんな事を考えていると、玲は私の髪の毛を一束掬い上げ唇を落とした。


その仕草はまるで御伽の国の王子様みたいで、目を離す事が出来なかった。


今までこんな事をされた事は一度もなくて、どう反応すればいいか分からなかった。


玲が何を思ってこんな事をするのか、本当に分からない。



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