お嬢様はじめました。
映画館に向かっている間、なんとなく話しかけづらくて、手を引かれながらおとなしく歩いた。


けどついた頃には、玲の雰囲気もいつも通りに戻っていた。



「どの映画が観たいの?」

「あ、えっと……どうしよっか?」

「決まってたんじゃないの?」

「迷っちゃって」



ウソ。


咄嗟に映画何て言っちゃったし、玲の事調べてたからどれにするか決めるのも忘れてた。



「玲は観たいのある?」

「……俺は葵が観たいやつ観たい」



意外だった。


玲の事だから、あれは嫌これは嫌って言うかと思った。



「じゃあ、これにしない?」



アクション映画のポスターを指さすと、玲は「いいよ」と笑って言ってくれた。


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