お嬢様はじめました。
最近は慌ただしくて感傷に浸る事なんてなかった。


こんな気持ちになるのは久しぶりで、寂しくなった。



「玲は映画よく観るの?」

「あんまり観ない」

「そうなんだ。 まぁ仕事忙しいよね。 って、今日大丈夫だったの!?」

「え? 何が?」

「何がって……仕事……」

「大丈夫じゃなかったら仕事行ってる」



そりゃそうだけど……。


私との予定は面倒くさいとか、しょうがないとかそういう感じではないのかな?


そうならいいんだけど。



「上映時間まで間あくから、どこかに入ろう」

「うん」



当たり前の様に差し出された手を、今度は遠慮なく取った。


すると玲は満足そうな顔をした。


手つなぐの好きなのかな?



< 93 / 194 >

この作品をシェア

pagetop